Laboro.AI

Laboro.AIコラム

AIで住まいに新しい価値を。不動産業界×AI

2021.8.15

概 要

不動産業界では、その業種の特性から多くのデータを扱っているため、AI活用の大前提となるビッグデータをすでに蓄積していると言われ、AIによる業務の効率化や新しいサービスの創出につながる可能性が期待されています。今回のコラムでは、不動産業界でAIの活用を検討されている方に向け、業界課題を改めて振り返った上で、AIを導入するメリットや実際の活用事例をご紹介します。

目 次

不動産業界の現状と課題
 ・労働環境
 ・需要の下落
不動産業界でAIを導入するメリット
 ・業務効率化
 ・新サービスの開発
不動産業界でのAI活用事例
 ・不動産査定AI
 ・不動産仲介AI
AIで不動産の新たなユーザー価値を

不動産業界の現状と課題

自動車、建築、医療に次ぐ国内第4位の市場規模を持つ不動産業界は、東京オリンピックの特需もあり、近年は市場規模が拡大傾向にあると言われています。一方で、以下のような大きな課題があることも指摘されています。

労働環境

不動産業界で大きな問題とされているのが、労働環境です。不動産業界では長時間労働が常態化しており、残業が多いだけでなく、勤務日数も多くなっているとする調査報告もあり、OpenWorkの調査によると年々改善傾向にはあるものの、2018年の不動産関連の月間平均残業時間は33.4時間で、これは他業種と比べても高い水準となっています。

また、労働環境が悪いために離職率も高く、人材流出をどう防止するかも大きな課題となっています。厚生労働省の資料によると、不動産業と物品賃貸業を合わせた勤続年数は男性が10.5年、女性が7.8年となっており、こちらも他業種よりも低い水準となっています。

不動産業界の中でも、大企業ではIT技術を積極的に取り入れるなどして労働効率を改善していく動きがありますが、多くを占める中小の不動産会社では改善に着手する余裕がなかなかないという現状もあるようです。

出典:働きがい研究所「2018年『OpenWork残業時間レポート』」
出典:厚生労働省 女性の活躍・両立支援総合サイト「平成30年度用 全国産業別平均一覧表」

需要の下落

近年は市場規模が拡大傾向にあり、好調と見ることのできる不動産業界ですが、東京オリンピック終了後には需要の急激な落ち込みが予想されています。また、長期的には人口減少や少子高齢化による需要の下落も想像されます。今後縮小していくであろう市場において、いかに新しい価値を提供できるかが大きな鍵になっています。

出典:Smart Drive Fleet「不動産業界が抱える一番の課題『働き方改革』にはIT化が必須?」
出典:CRE戦略ガイド「【不動産業界の今後】現状と課題を徹底解明!」

不動産業界でAIを導入するメリット

不動産業界でAI活用の推進には、以下のようなメリットが期待されます。

業務効率化

AIが得意とする領域として、バックオフィス業務をはじめとした定型業務の自動化が挙げられます。AIはあらゆる業種でさまざまな形で業務効率化に活用されていますが、不動産業界でも業務効率化を進め、労働環境を改善することが期待されます。

不動産会社の業務として、例えば、他社の物件を仲介して物件案内図を貼り出す際に行う自社情報への「帯替え」があります。帯替えはシンプルな作業ですが、数が増えれば工数がかかり、ミスも発生しやすくなります。全てを機械に代替させることは不可能ではありますが、一部作業をAIに代替させることができれば業務効率化につながることが期待できます。

また、営業担当が不明点を確認するために使用する社内マニュアルシステムの構築も一例です。営業に関するノウハウは、会社によってはマニュアル化されていないことも多く、不明点を確認するために手間を要するほか、営業としての行動形式にもバラつきが生まれてしまいます。簡単な内容に限られることは否めませんが、例えば、AIシステムとしてチャットボットを導入し、営業担当がいつでも質問・確認できる環境が整えば、営業の生産性向上につながることが見込まれます。

新サービスの開発

AIを活用することでこれまでの常識を打ち破り、新しいサービスを開発できる可能性もあります。例えば、次で詳しくご紹介する不動産仲介AIはその一つです。不動産仲介をAIが代行できれば、ユーザーの利便性が増すだけでなく、仲介業者が管理会社と行っていた複雑なやり取りも軽減され、担当者は本当に集中すべき業務に集中できるようになります。

また、SNSの投稿内容を分析することもAIが多く用いられる領域の一つです。SNSの内容から投稿者の属性や好みを推定するようなAIシステムを構築することができれば、顧客ニーズにあった提案につながるはずです。具体的には、街のその場所にどれだけ人がいたかといった人流などの定量的な情報だけでなく、なぜその場所が活況なのか、人がその場所にどのような印象を持っているかなど、定性的な情報をSNSから抽出・分析し、各種の販売施策に反映させることも期待できます。

不動産業界でのAI活用事例

では実際に不動産業界で誕生した、AIを駆使したサービスを2つご紹介します。

不動産査定AI

通常、一軒家やマンションなどの不動産を売却したいと考えた場合には複数の不動産会社に訪問査定を依頼するものですが、こちらのサービスでは不動産査定をAIに実施させることを実現したもので、複数の不動産企業が実際に活用しています。

不動産査定AIの仕組みは、機械学習を用いて不動産に関するさまざまな情報と売却価格をAIに学習させることで成り立っています。不動産の価格は情勢などによって変動しますが、そのような情報も含めて学習するため、訪問査定なしでもある程度の目安を出すことが可能とのことです。なお、価格の条件が複雑な一軒家よりも、マンションの査定のほうが得意だとされています。

AIによる不動産査定は、サービスを提供しているWebサイトで必要事項を入力することから始まります。しっかりと情報を入力すればその場で査定額が出るため、気軽に査定額を調べられるほか、売却の時期を慎重に検討できるなどのメリットがあります。

一方、不動産査定AIの課題として挙げられているのが、学習データの少なさです。不動産業界では、国土交通省の指定流通機関が運営している不動産データベース「レインズ」がありますが、現在の売出し状況や過去の取引情報が記載されているものの、仕組みや制度的な点から不動産査定AIはレインズを参照できません。そのため、システムを運用する会社で保有しているデータ、およびネット上の情報などを学習しているケースが主流のようです。

AI、具体的には機械学習技術を用いて精度の高い査定を行うためには、最適な量と質を伴った学習データが必要となりますが、現状、十分な確保は難しい状況のようです。そのため、不動産査定AIはあくまで入り口のツールとして活用し、個別判断が必要なケースや詳細判断が必要なステップまで進行した際には、専門家による訪問査定を行うといった流れが現実的だと言えます。

不動産仲介AI

不動産売買の際には、売り手と買い手の間に不動産仲介業者が入ることになりますが、この不動産仲介の多くの業務を代行できる不動産仲介AIサービスが登場しています。

AIやIT技術を駆使した仲介サービス系のプラットフォームとしては、ホテル予約サービスやデリバリーサービスなど、これまでにも多く登場していますが、これらのサービスのメリットは、窓口を集約することにより、ユーザーが素早く気軽に利用できるといった点にあります。

不動産仲介の場合は、高額な取引をスムーズに進めるために仲介業者が入るのが一般的ですが、不動産仲介AIが登場することで売り手・買い手双方にとってより利用しやすいサービスになることが期待できます。例えば、賃貸物件を探しているユーザーが物件に関する質問を入力すると、AIが素早く返答、希望条件に適合した物件をAIが選定し、ユーザーにレコメンドしたり、内見の申請をしたりといったこともシステム内で完結させることが可能になります。

不動産仲介AIの活用においては、上のような事務的な業務フローはAIが代行し、実際の内見はこれまでどおり担当者が実施するといったような、業務効率化を目的とした使い道が見出されます。

参考:JDIR powered by JBpress「仲介業者はAIに殺されるのか? 不動産テック最前線」

AIで不動産の新たなユーザー価値を

近年は活況が続いていると言われながらも、将来的に需要の下落が見込まれておる不動産業界。労働環境の悪さという長年に渡る課題の解決も迫られています。また、それぞれの不動産企業にとってみれば、競合がひしめく中、いかに新しいサービス開発し、新たなユーザー価値を提供していくかも重要な視点です。AIがこれらの全てを解決するというのは難しいことではありますが、進歩著しい先端技術をいかに活用するか、考えるべき時期に入ってきているのかもしれません。

カスタムAIの導入に関する
ご相談はこちらから

お名前(必須)
御社名(必須)
部署名(必須)
役職名(任意)
メールアドレス(必須)
電話番号(任意)
件名(必須)
本文(必須)