Laboro.AI

Laboro.AIコラム

変わる建設、変えるAI。建設DXの今とこれから

2021.4.14

概 要

機械学習やディープラーニングの技術進化により、第3次AIブームが到来していると言われています。一方で、AIとの親和性があり高いレベルで導入が進んでいる業種もあれば、現場レベルではまだほとんど浸透していない業種もあるのが実際です。建設業界では現在、大手ゼネコンなど一部企業によるAI投資が進められている段階であり、今後、AIによる業務改善や品質向上など、建設現場へのプラスの効果が期待されています。

今回のコラムでは、建設業界ならではの課題や今後の動向、実際の活用事例についてご紹介していきます。

目 次

建設業界の現状課題
 ・人手不足
 ・安全優先の現場、作業の非効率化
建設業界のAI活用の現状と今後の動向
国土交通省「i-Construction」
建設業界でのAI活用4事例
 ・建設物の制振制御【Laboro.AI】
 ・インフラ設備の劣化箇所検出【Laboro.AI】
 ・品質や安全に関する作業リスクをAIで管理
 ・建設現場での意思決定支援
変わる建設、変えるAI

建設業界の現状課題

大手企業によるAI導入が促進される建設業界ですが、その背景として建設業界ならではの次のような課題があると言われています。

人手不足

少子高齢化が進む中、あらゆる業種で人手不足が叫ばれていますが、建築業界も例外ではありません。建築業界における従事者の数は減少傾向にあり、ピークだった1997年に比べると2019年の従事者の数は約27%も減少していることがわかっています。

建築業界は、時代によってインフラ整備の需要が大きく左右される業種のため、従事者が減っていることがすぐさま問題にはなりません。ですが、東京オリンピックや東日本大震災の復興という大きな需要がある中でも増加していないことをも考えると、この課題は深刻です。

さらに、従事者の高齢化も問題になっています。20代の従事者が約33.1万人である一方、65歳以上の従事者は40万人を上回っており、若者の定着に課題があることも建設業界の特徴だと言えます。

こうした人手に関わる課題の解決策として期待されているのが、AIを含む先端テクノロジーの活用です。効率化を妨げる単純作業をAIが肩代わりする、あるいは整備箇所の判断をAIに行わせることでベテランと新人の差を埋めるといった対策としてその効果が期待されています。

(出典:国土交通省『建設業界の現状とこれまでの取組』建設会計ラボ『建設業界の現状~今後の鍵はICT化~』

安全優先の現場、作業の非効率化

危険と隣り合わせの状況が少なくない建設現場では、当然ながら安全が最優先されるため、そのためには効率を犠牲にせざるを得ない側面もあり、作業の効率化がなかなか進められにくいことも特徴として挙げられます。

そこで期待されているのがAI技術を搭載したロボットの導入です。建築業界では建設用ロボットの導入が積極的に行われていますが、危険な作業のロボットによる肩代わりや、人の作業工程の短縮による全体の効率化などが期待されています。

建設業界のAI活用の現状と今後の動向

建築業界では、大手ゼネコンをはじめとする大手企業によるAI技術の開発・導入が中心に進められています。現時点では研究開発段階のものも多く、実用レベルで現場活用されているAIシステムはまだまだ少ないのが現状ですが、今後はAIによる業務効率化や品質向上に大きな期待がかけられています。

AIが得意とするタスクには、膨大なデータの処理や単純作業の高速化の他、大量のデータを学習することによる予測とより良い結果を導き出すための推論が挙げられます。こうしたAIの得意領域は、経験則に裏付けされたベテランの知見が重要になる業種との親和性が高いと言われています。建設業界も深いノウハウと多様な経験を持ったベテランの判断が多く求められる業種であり、AIによる効果が発揮されやすい分野だと考えられます。

国土交通省「i-Construction」

国土交通省は2017年、「第4期国土交通省技術基本計画」を発表し、人を主役としてIoT、AI、ビッグデータを活用していくことを打ち出しています。これら3つのテクノロジーは、互いに連携することで大きな効果を発揮するものであり、国のバックアップをベースにしたこれら技術の活用に注目が集まっています。

さらに、国土交通省では「i-Construction」と称し、建設現場の生産性を2025年までに20%増加させることを目標として掲げています。これは、測量・設計・施工・検査・維持管理といった建設におけるすべての業務フローにおいてICT技術を導入し工程全体の生産性向上を目指すものですが、ここで言及されているICT技術には、IoT・AI・ビッグデータの活用が含まれているものと捉えることができます。

建設業界でのAI活用4事例

最後に当社事例も含めて、建設業界でのAI活用事例を4つご紹介します。

建設物の制振制御【Laboro.AI】

Laboro.AIでは、大林組との研究開発プロジェクトとして、建設物の制振制御を行うカスタムAIを開発しました。

制振技術とは、建物を揺れから保護するための手法の1つで、建物内に設置したマスダンパーなどの機構を建物が受けた振動状態に合わせて動かすことにより、揺れを相殺する技術です。制振技術の中でも、振動を電子的に検知し、マスダンパーをコンピューター制御によって能動的に動かすAMD(アクティブ制振)という技術にAIを活用したのが今回の事例です。

このカスタムAIには、コンピュータがより良い制御則を試行錯誤を通して探索していく強化学習という手法が用いられ、従来手法よりも効果的に揺れを抑えることに成功しています。このAIによる制振制御は、建設物の揺れの制御だけでなく、自動車や公共交通機関の揺れの軽減、精密機械の製造時の揺れの軽減などにも応用されることを当社では見込んでいます。

(参考:プロジェクト事例『 建設物の制振制御』

インフラ設備の劣化箇所検出【Laboro.AI】

AIの画像認識技術を用いた劣化・損傷箇所の検出は、今ではそれほど珍しくなくなってはきましたが、当社でも取り組みを行なっています。

ある大手インフラ企業では、それまでインフラ設備の劣化箇所の検出を目視で行い、保守へつなげるかどうかの判断も人手によって行われていました。そこで、ディープラーニングによる画像認識技術を用い、画像内から劣化箇所とその内容の判定をコンピュータが行えるようなカスタムAIの開発を実施しています。

(参考:プロジェクト事例『インフラ設備の劣化箇所検出』

品質や安全に関する作業リスクをAIで管理

AIの開発などをうオートデスクでは、建設現場における品質や安全を管理できるAIシステム「Construction IQ」を提供しています。Construction IQは、建設現場の担当者が作業内容を入力することで、遅延が発生しやすい作業や事故・ミスの起きやすい作業、安全性や品質を確保するための項目をAIが表示するというシステムです。これにより事故の発生や手戻りなどを防ぐだけでなく、作業後の報告によりAIがさらに学習を重ねていくという仕組みになっています。

(出典:日経クロステック『「違反常習者」を見逃すな!施工ミスや作業遅れをAIで防ぐ』

建設現場での意思決定支援

竹中工務店では、単純作業を高速化し、浮いた工数を創造的な業務に当ててワークライフバランスをも改善するための3つのAIとして、「リサーチAI」「構造計画AI」「部材設計AI」を開発しています。

このうちリサーチAIは、過去の膨大な設計データを整理し、必要なときに必要なデータを取り出せるようにしたAIです。現在進行中の建設現場で参考にできる事例や設計データなどを簡単に引き出すことができるため、経験の少ない設計者でも有用な情報にすぐさまアクセスできるように構成されています。また、残り2つのAIも人と協働し、人の仕事をより高めるためのシステムとして開発されており、これまでは実現できなかった構造設計フローの実現が目指されています。

(出典:日経クロステック『あの超⾼層を⼿掛けた構造設計のエースが開発中、⽵中⼯務店の「使えるAI」』

変わる建設、変えるAI

建設業界では、大手建設会社や建築メーカーを中心にAIの研究・開発・運用が次々と進められ、建設DX時代に突入しています。今後、単純作業の高速化や安全性の確保、複雑な構造設計における意思決定支援など、より多くの現場タスクに対するAIの活用が進むにつれ、人材不足をはじめとする業界特有の課題解決に寄与することが期待されます。

Laboro.AIでは、上記事例をはじめ、これまで多くの建設系企業とのプロジェクトを推進しています。AI導入、ビジネス課題解決をご検討の際は、ぜひご相談ください。

カスタムAIの導入に関する
ご相談はこちらから

お名前(必須)
御社名(必須)
メールアドレス(必須)
電話番号(任意)
件名(必須)
本文(必須)