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Laboro.AIコラム

外観検査【ビジネス成長のためのAI用語】

2023.11.16
株式会社Laboro.AI リードマーケター 熊谷勇一

用語解説

外観検査とは、製品の品質を維持・保証するために外観を検査することです。主に表面に付着した異物や汚れや歪みなどの異常がないかどうかを確認します。人間の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を使って品質を判断する「官能検査」の代表例であり、業界や製品問わず実施されます。外観検査は人間の目による目視検査が主流ですが、品質保証の観点から全数検査が望ましく、近年は画像センサの導入が進んでいます。

応用&詳細解説

画像センサを用いた外観検査も、センサで取り込んだ画像をモニタで人間が最終確認をする方法は目視検査であり、経験や労働時間が必要になります。例えば検査した製品の「異常なし」か「異常あり」の判断にAIを活用できると、作業時間の短縮だけでなく、検査精度の向上も狙えます。

AIを活用した画像内の異常検出には、一般的に三つの手法(画像分類、物体検出、セグメンテーション)が候補になります。

一つ目は画像分類。例えば動物の種類ごとなど分類したいカテゴリーごとに画像を用意し、 それぞれの画像データをコンピュータに学習させて、色や形状などの特徴を解析し、分類します。この工程で「この画像は犬」「この画像はオオカミ」と正解を教える教師あり機械学習が使われており、コンピュータが画像を分類できるようになります。特徴をコンピュータが学習できたら、新たな画像データを読み込ませ、学習した特徴と比較して、画像を分類していきます。

一方、教師なしの画像分類AIも開発されています。東芝が開発したAIは、1枚の画像を一つの分類基準とする「疑似的な教師あり学習」を行い、一部の画像にだけ存在する特徴を抽出できるとしています。加えて学習時には、抽出する特徴が重複しないようにする独自の学習基準を設定しており、画像内の特徴からグループ化に有効な特徴量が作成できるといいます。

二つ目は物体検出。 画像に写っている特定のクラス(例えば人間、動物、自動車など)の物体を検出する技術で、位置や個数も捉えられます。 一般的には四角形(バウンディングボックス)で物体を囲んで位置を特定します。 身近な例では、スマートフォンのカメラ、自動運転における歩行者の検知などに利用されています。代表的な手法としてR-CNN(Region-based CNN)、YOLO、SSD、DETRなどがあります。

三つ目はセマンティックセグメンテーション。画像内の全画素にラベルやカテゴリを関連付ける手法です。特徴的なカテゴリを形成する画素の集まりを認識するために使用されます。例えば自動運転車は、車両、歩行者、交通標識、歩道、道路などを識別する必要があります。物体検出との違いは、対象物の画像内を画素レベルで複数の領域に分けることができる点です。その結果、セグメンテーションは不規則な形状の対象物を明瞭に検出することができます。代表的な手法として、FCN、DeepLab、U-Net、SegNet、FPNなどがあります。

ビジネス成長に向けたポイント

前述の通り、外観検査を目視で実施するには経験が必要です。多くの業界で人材不足が叫ばれる中、こうした経験者を確保するのはますます難しくなっていくでしょう。AIを活用すれば「経験は少ないが、AIと協調して仕事に取り組める人材を探せばよい」となり、採用や研修のコストを低減させられるだけでなく、より良い人材配置や余った労働時間を生かしてイノベーションを生みやすい組織づくりができる可能性があります。イノベーションは長期的に見れば、AIによる単純なコスト低減を上回る価値になるでしょう。

Laboro.AIでは、これまで外観検査に関するプロジェクトにも取り組んできており、「防衛装備品の製造におけるAIによる外観検査」という事例も生まれています。本事例では上記三つの異常検出手法のうち最も適した手法を選び、高い精度での検査結果を得ることができました。Laboro.AIの「カスタムAI」の開発においては、ビジネス環境や解くべき課題に合わせた最適な手法・アプローチを選択することで、AIによるイノベーション創出に向けた伴走支援を行っています。

参考
外観検査.com「外観検査とは
高橋海渡ら『AIのしくみと活用がこれ1冊でしっかりわかる教科書』
MONOist「教師なし学習でも「世界最高クラス」の精度で不良品を見分ける画像分類AI
Laboro.AI「防衛装備品の製造におけるAIによる外観検査

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