Laboro

プロジェクト事例

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ニオイセンサーデータの分類

大手自動車メーカー様

  • 「五感センサー最後の砦」とよばれる、ニオイセンサーデータの分類を実現
  • 同一商品群で類似したニオイについても分類性能を確認

五感センサー最後の砦、ニオイ

私たちの鼻は空気中に漂うニオイ分子を捉え、その情報を脳に伝えます。脳は伝達された分子の組合せパターンとこれまでに嗅いだニオイの記憶を照合し、何のニオイかを判断します。組合せのパターンは膨大で、40万以上あるニオイの分子に対して、約400の受容体が1対多の関係で反応します。この複雑さが要因となり、ニオイセンサーは「五感センサー最後の砦」と呼ばれ、ニオイの産業活用は中々進まない状況が続いていました。

ですが近年になり、人の鼻を模した人工鼻(e-nose)の開発が急速に進み、様々な方式で研究が行われるようになりました。これらの主な研究では、感応膜と呼ばれる部位に分子が吸着することで発生する物理現象の変化を、電気信号に変換する方式が取られます。様々な感応膜のセンサーをマルチアレイ(多配列構造)にすることで、人間の嗅覚を電子的に再現しているのです。

ニオイ分析の課題

上記のようなセンサーの開発が進む一方で、その分析・解析手法は未だ確立されていません。そのため同社では、複数のセンサーから取得されるデータから、どのように特徴量を抽出するか、またそれらをどのように特定のニオイに分類するかが課題となっていました。

また、ニオイは味覚のおける甘みや酸味のような基本となる感覚が無いと言われています。私たちがニオイを表現する際、“コーヒーのような匂い”、“フルーティーな香り”などと比喩を用いて表現するのはこのためです。そのため、ニオイの判定を行うには具体的な食材や商品などとニオイを紐付ける必要がありますが、判定対象とするニオイの種類が増えた際のデータ取得及び学習に必要となるコストも考慮する必要がありました。

カスタムAIの開発内容

Laboro.AIでは、ニオイセンサーで取得したデータの探索的データ分析から着手し、複数のニオイを分類するカスタムAIを開発、マルチアレイの時系列センサーデータについて20を超えるニオイに分類することに成功しました。この中には同種の商品を分類するような、極めて似たニオイも含まれています。

また、開発した分類器をベースに、一部のデータのみの学習から未学習のニオイの分類が可能であることも確認しました。これは、判定のターゲットとするニオイが増えた場合でも、追加学習が不要になる可能性を示しています。

今後の展望

今回同社に対して開発・提供したカスタムAIは、人間の嗅覚に近い表現力でのニオイ分類を、AI・機械学習技術を活用することによって実現しようとするものです。ニオイ分類の活用は、医療・ヘルスケア領域や、食品開発、空間における顧客体験価値の向上など、様々な産業領域で期待され、今後、これら分野への応用が見込まれます。

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