OCR 手書き文字の読取り 業務効率化 画像認識

煩雑な文書の読み取り作業をAIで自動化!OCRを超えた効率化を実現!

大手生命保険会社様

「手書きの文章を人の目でチェックしているけど、工数がかかるのでもっと効率化したい…」「手書き文字の自動読み取り(OCR)」というテーマは、決して目新しいものではありません。ですが、機械学習の技術を取り入れることで、実はより効率を高められる可能性があることをご存知でしょうか。大手生命保険会社A社様が導入されたカスタムAIは、ある「発想の転換」から生まれたソリューションでした。

導入前の課題

OCRを導入したのに、担当者の負担が一向に減らない…!

大手生命保険会社A社様は、日々契約者から送られてくる大量の申請書の処理に、頭を悩ませていました。

生命保険の保険金請求は、手書きの紙ベースで行われるのが一般的です。保険会社ではその内容を精査し、支払う保険金の額の算定や支払い可否の判断を行います。保険会社にとって、この作業は「間違いが許されない」非常にセンシティブな業務であり、A社様では、申請書の内容を確実に処理するために多くの人材と時間を費やしていました。ですが、リソースにも限界はあります。大量の書類を人間が処理することに限界を感じた担当者様は、手書きOCR技術を活用し、病名や手術名の読み取り作業を自動化することを計画しました。ただ、検討を進めて行く中で、次の2つの点で容易に解決ができないことが分かったのです。

① 一般的なOCR製品では、病名や手術名などの専門用語に対応できず、誤った判断をするケースが多い

② 病名や手術名は表現の揺らぎ(同じ病  気でも表現の仕方が複数あること)が多く、OCRで文字を読み取った後も、病名・手術名を熟知した作業者が名寄せ(社内の統一コードに変換する作  業)を行う必要がある

とくに後者については致命的でした。たとえどれだけ精度高く文字の認識ができたとしても、それを人手で振り分ける作業が残ってしまえば効率化には繋がらないからです。そのため、担当者様は既存のOCR技術の枠を越えた、独自の解決策を求めるようになりました。

カスタムAIの開発・導入

「文字の読み取り」ではなく、「適切なコードを識別する」

この問題に対してLaboro.AIがご提案させていただいたのは、「そもそもの問題設定を変える」という発想を転換させたものでした。

一般的に、手書きOCRを導入する際の目的は、書かれているものを「テキスト化」することです。ですが、A社様の場合、最終的に社内の統一コードに変換しているため、「画像識別を行い、それが何のコードに該当するかさえ分かれば、テキスト化は必要ない」と考えたのです。

機械学習による「画像識別」のわかりやすい例としては、たとえば写真に写っている物体が犬なのか猫なのかを言い当てるといったものが挙げられます。犬・猫の識別を行うAIモデルを作る場合、それぞれを指定した画像を大量に用意し、それを機械に読み取らせて、それぞれの特徴を学習させるという処理を行います。A社様のケースもそれと同じで、例えば「心臓病」と「がん」を区別したい場合、その記載のある手書き文字と最終的に振り分けたいコードをセットで学習したモデルを作り、識別を行います。また、たとえば「がん」と「悪性新生物」という風に同一の疾病内で表現の揺らぎがある場合も、それぞれの画像に対して同一のコードを紐づけておけば、AIがコード単位で識別を行うことができます。

この手法は、OCRのように画像から"それが何を表しているか"を判断することができるだけでなく、「テキスト化(自然言語処理)」の工程を踏まえないため、読取りの精度や表現の揺らぎといった問題にぶつからないことが利点でした。

カスタムAI導入後の効果

AIを人のサポートツールとして活用。大幅に工数を削減

この手法で申請書に記載されている手書き文字の読み取りを行った結果、約80%の精度で正しいコードに置き換えることができるという結果となりました。

また、A社様では「読み取った結果として、該当する可能性の高いコードの上位5項目を出力する」という仕様を要望されており、この点についても、Top5の中に正しいものが含まれる精度は90%以上という結果になり、従来のOCR技術と比べて格段に高い精度を実現することができました。

もちろん、保険の支払いというセンシティブな内容であるため、80~90%の精度では完全に業務を自動化するにはまだまだ十分ではありません。ですが、ある程度たしかな候補を出せるようになったことで、担当者様が一から該当項目を探したり、内容を入力するといった手間は大きく減り、工数を削減することに至っています。

人が行なっていた作業をAIや機械学習で完全に自動化することは、現時点ではハードルが高いのが実際です。ですが、A社さまのケースのように、人のサポートツールとしてAIをうまく活用することにより、煩雑な作業が大きく効率化することが期待できます。

皆さまの周りにも、「習慣的に当たり前のように人の力でやっているけど、実は非効率になっている作業」が隠れてはいないでしょうか。まずは、日常的な作業・業務を洗い出し、効率性を見つめ直すことによって、AIや機械学習の活用ヒントが見えてくるかもしれません。

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