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ESG企業調査での情報収集・評価

株式会社 日本総合研究所 様

  • 調査対象企業のHPからの情報収集とスコア化を自動化
  • 業務の8割を占めていたプロセスの作業負荷を5割削減

企業のESG調査業務における課題

日本総合研究所様では、ESG側面の取り組みを業績・競争力につなげるという視点から、東証1部上場企業を中心とした約2,000社の国内企業を対象に、各企業の社会的課題の解消に貢献し得る製品・サービスや、ステークホルダーへの配慮状況を評価する調査レポート「わが国企業のESG(環境・社会・ガバナンス)側面の取組み調査」を、1999年から実施されています。

調査では、温室効果ガス排出量や人権デューデリジェンスなど100を超えるESGに関する評価項目それぞれについて、複数の定量・定性指標を用いて評価されます。それらの評価項目に関連する情報は調査対象企業のホームページや公開情報に掲載されていますが、ESGに関する情報は定性的な表現が多くを占めることから、情報収集作業や情報整理・加工作業はこれまで人手で行われてきました。

一方、ESG投資が年々盛んになるなかで、投資家の方々からは本調査について多くの要望が寄せられるようになりました。また、企業側も開示情報を質・量ともに充実させる傾向が顕著となり、従来の人手だけによる調査体制のままでは本調査の質の維持・向上が難しくなっていました。

カスタムAIの開発内容

今回のプロジェクトで開発・導入されたカスタムAIは、インターネット上の情報収集作業と、ESG評価項目に該当する文章抽出作業を効率的に実施することを目指したものです。日本総合研究所とLaboro.AIが共同開発したカスタムAIを本調査で使用し、調査項目を評価するまでの流れは以下のとおりです。

 ①Webクローラーが、評価対象企業のホームページからすべての文章を抽出します。
 ②抽出した文章を、AIの認識に適するよう、品詞分解(形態素分析)します。
 ③品詞分解された文章をテキスト分類エンジンに入力し、ESG評価項目への関連可能性(信頼度)を割り出し、スコア化します。
  このテキスト分類エンジンは、fastText技術(自然言語処理分野で用いられるAI技術)によって、教師データ (ESG評価項目への
  関連の高い、あるいは低い模範文)との類似性を照合し、判断します。
 ④こうして算出されたESG評価項目への関連可能性が高い高スコアの文章を、一覧表として作成します。
  この一覧表を基に、アナリストが各企業の評価を実施します。

導入後の成果

本調査専用に共同開発したカスタムAIソリューションの導入によって、調査の作業量全体の8割を占める情報収集にかかる工数は、約5割削減されることが見込まれています。また、人手だけによって各企業のホームページからESG評価項目に関連する情報を探し出すこれまで方法とは異なり、アナリストはESG評価項目と関連性の高い文章の一覧表にいきなりアクセスできるため、情報収集にかかる作業量が大幅に削減され、特色あるESGの取り組みを行う企業の発掘など、より付加価値の高い作業に注力することが可能となりました。

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